Write Less Software!!
ちょっとうらやましいけど、私が同じサインをもらっても、角谷さんの感じている嬉しさは得られないと思う。仕事の報酬とはそういうもので、本当の価値はやったことの中にある。
角谷さん、スタッフの皆さん、おめでとう、ありがとう、そして、お疲れさまでした。
しかも、この言葉は、彼のボスの Less is More とうまくペアになる所がまたいいですね。
今回の発表で、技術的な意味での一番の収穫はくまくまーの人の発表。これは、with_scope という「知る人ぞ知る」みたいなAPIを題材にして、DRY原則によってどんどんコードを減らしていく話。私の今書いてる例にもピッタリあてはまるテクニックだった。
この業界は長いんで、「コードの行数が減ります」という話は聞きあきてるんだけど、これまでたくさん聞いた「コードの行数を減らす」話は、必ず減らした分の何倍もの対価を後で要求される。エネルギー保存の法則みたいなもので、コーディングが簡単になれば設計が難しくなるし、開発が早くなれば保守が困難になる。全部まとめて良くなる話もあるけど、そういうのは必ず「普通のプログラマ」にはついていけない話。
しかしこれは本物だ。本当に対価無しで "Write Less Software!!" を実践する話だった。
対価が発生するのは、実世界とモデルとコードの距離を縮めないでコード量を減らそうとするからで、実世界に接近したモデルを書いて、それをそのまま動かせば、対価無しで、わかりやすく短かいコードが書ける。RubyとRailsは普通のプログラマの手の届く所でそれを可能にする。いつもこの例のようにはいかないかもしれないが、どこを目指すべきかを、このプレゼンは明確に見せてくれた。
角谷さんは、(少なくともMacBookの寿命が尽きるまでは)毎朝仕事道具を手にするたびに、この呪文を読んでこの発表を想起できるわけで、それ一つとってもこれは凄い財産かもしれないですね。